漏洩電流とは？医療用電源における漏洩電流の深刻さ

はじめに：漏洩電流とは？

漏洩電流とは、活用されていない電流のことを指し、DCやAC回路からアース、シャーシ、接地がない場合はいずれかの導体コンポーネントへ流れる電流は、漏洩電流と見なされます。入力や出力からの漏洩電流は避けられないため、必ず抑制すべきであり、産業やアプリケーションに応じて、漏洩電流の制限値が設けられています。

 

異なる機器間の漏洩電流は、アースと導体が導通している場合に起こり、これは設計時に意図されたものではありません。使用中の機器が正しく接地されていないと、電流が他の通電コンポーネントや導体を通じて流れてしまいます。電気機器の場合は、漏洩電流は絶縁体や、半導体など部品を構成する素材の不良が原因で起こりがちです。

漏洩電流の抑制が重要である理由?

漏洩電流の抑制は、いくつかの理由で重要となります。ほとんどの電気設置現場やそれらの機器は、停電や災害を防ぐために接地システムを使用します。電源線と導電部品の間の絶縁が不足や欠落したり、アース接続が失われると、電流の流れはブレーカーを遮断させヒューズを短絡させる原因となります。特に医療機器を使用する場合、人体の安全を損なうリスクもあります。

 

安全を高めリスクを下げるため、規格が制定されています。装置やデバイスを使用する場合、対象アプリケーションで許容される漏洩電流のレベルを必ず把握しておかなければなりません。医療機器では制限値が小さくなり、より厳格になる点を理解しておくことが重要です。

医療用電源で低い漏洩電流が要求される理由?

診療現場では、電子機器の普及が進んでいます。治療の成果を高め、人命を救うために電気が不可欠な役割を果たしていますが、医療機器の利用にはリスクが伴います。医療用電源には低い漏洩電流が要求され、非常に厳しい規制が設けられています。医療機器での漏洩電流制限値は、それ以外の機器よりも格段に小さくなります。これは、医療従事者と患者の両方を保護するための安全対策です。

 

病院や診療所の多くでは、患者と従事者の両方が電流に曝露され、生命を脅かす可能性すらあります。漏洩電流が人体を通過する経路として、皮膚（マクロショックと呼ばれます）、およびペースメーカーやカテーテルなどの機器、電源、装置（マイクロショックと呼ばれます）が存在します。病院で治療を受けている患者は防御力が弱まっているため、感電は特に危険因子となります。

医療用電源の漏洩電流に関する安全規制とは？

医療用電源は、それ以外の目的で使用される装置やデバイスよりも格段に低い、厳格な制限に晒されます。これは、特殊な医療装置やデバイスを使用して電流に触れる可能性のある、患者や医療従事者の保護を強化するためです。

 

医療産業での使用を意図された装置は、IEC 60601-1安全規格で制定された基準を満たしている必要があります。これは国際的に認められた安全規格であり、電源に接続されて患者の観察、診断、治療、管理に使用される装置すべてに適用されます。以下にその例を紹介します。

 

• 心拍数モニター
• 血圧モニター
• 超音波装置
• 手術用レーザー技術

 

通常の使用条件で、医療機器の漏洩電流上限は10uA～500uAです。これは単一の故障が発生した場合に適用されます。以下の表は、様々な医療機器へ適用される安全規格をまとめたものです。

 

漏洩電流	タイプB		タイプBF		タイプCF
	NC	SFC	NC	SFC	NC	SFC
アースの漏洩電流	500uA	1mA	500uA	1mA	500uA	1mA
エンクロージャの漏洩電流	100uA	500uA	100uA	500uA	100uA	500uA
患者の漏洩電流	100uA	500uA	100uA	500uA	10uA	50uA

NC= 正常動作    SFC= 単一故障動作

 

低漏洩電流の医療用電源でFSPを選択する理由?

FSPは低漏洩電流の医療用電源を専門とし、国際安全規格と認証を満たす装置を提供しており、PC電源、アダプター、オープンフレーム、バックアップ電源を含む、4種類のAC/DC医療電源をご用意しています。数十年にわたり顧客へ高品質の製品とサービスを提供してきたFSPは、医療用電源の分野における第一人者です。医療機器についてのご質問、または詳細情報やアドバイスをお求めの場合は、お気軽にご相談ください。

まとめ

漏洩電流は、ACまたはDC回路からアースや他の導体へ流れる電流を指し、装置やデバイスが適切に接地されていない場合、電流が人体を流れる可能性があります。このため、医療用電源では漏洩電流を制御して抑制することが不可欠となります。安全規格を遵守することでリスクが低減され、患者、医療従事者、サポート従事者を安全に保護します。